良いこと悪いこと
今回は一つの技にとらわれないより一般的な練習において、私の経験からくる良いと思われること、悪いと思われることなどを書きたいと思います。内容は特にトスジャグリングをメインにしたものです。
私はジャグリングが飛びぬけて上手いとかそういうことはありませんので、確信してこうすればよいということは書けませんが、一つだけ自信のあることがあります。それは、私はもともと運動(球技)はかなり苦手なほうであるにもかかわらず、ここまでジャグリングができるようになったことです。そしてその上達の一部は練習方法によるところがあったと思っています。ここに書くことによって、少しでも多くの人のジャグリングの上達に貢献できればと思います。
わかっていることとは思いますが、これから書くことは私個人の経験からくるものであり、誰においてもこれが正しいというものではありません。また、そんなのうそだという意見や、一部はジャグリングのスタイルによる部分もあると思います。その辺はしっかり理解していただいた上で、これを参考によりよい自分に合った練習方法を見つけてもらえればと思います。
良いこと悪いこと一覧
まず初めに、私の考える良いことと悪いことを列挙してみます。
- 良いこと
- リズムを意識する
- 姿勢(動き)を一定にする
- 平面を意識する
- 一人で練習する
- 上手な人をよく観察する
- ノルマを決める
- 一つのことに集中する
- よく考える
- 成功率5割以上8割未満程度の技を重点的に練習する
- その日のうちに成功させる
- 悪いこと
- 「良いこと」と反対のこと
- 段階を踏まずにいきなり難しい技を練習する
- 一般的にいわれている事を無視する
- 形が崩れるまで続ける
- 多くの技に手を出す
次の章からこれら一つ一つについて具体的に説明していきます。
リズムを意識する
ジャグリング練習法すべてに渡ってことあるごとに書いているこの言葉。私がジャグリングを練習するときは、とにかくこれが最優先されるものになっています。おそらく、私だけでなく誰にでもあてはまって、リズムを一定にすることは確実にジャグリングの上達につながると確信しています。
一番良い具体的な例は3ボールカスケード。おそらくこれを読んでいるほとんどの人はできることと思います。これを人に教えたときを考えてみてください。はじめてカスケードをする人を見てどう思うかというと、たいていはタイミングが合っていないと感じるのではないでしょうか。ボールが落ちてこないうちに次のボールを投げ始めてしまっていたりします。すべてはこれに象徴されるように、手を動かすタイミング、そしてそれを連続したリズムが重要なのです。難しい技になればなるほど、許されるタイミングのずれは小さくなります。その小さなずれを感じ取れるように意識しましょう。
ナンバーズでひたすらカスケードやファウンテンを続けるといった場合には一定のリズムでジャグリングすることが重要ということになりますが、そうでない単発の技でもリズムは重要です。たとえばピルエット。3ボール3アップピルエットを例にします。当然3つのボールを投げ終わるまではリズムは一定です。ここでピルエットの動作が入るわけですが、どのタイミングで動き出すかというのが重要になってくると思います。あまり早すぎると3つめのボールが正確に投げなれなかったり、遅ければ間に合わなかったりします。うまくいったときのリズムを思い出しながら練習するといいと思います。
リズムをきれいにする練習方法ですが、最も良い方法は自分のジャグリングをしている姿をビデオに撮ってみることです。ジャグリングをしながらだとほとんどの場合リズムがどうなっているか自分ではわかりません。私自身もそれなりにリズム感には自信があるのですが、実際ジャグリングをしているときに感じるリズムと、ビデオに撮ってみた時のリズムはぜんぜん違います。自分でしっかりリズムをとっているつもりでも全然できていない場合がほとんどです。ビデオカメラがなければ、他の手段としては人に見てもらうというのが一番簡単でしょうか・・・。ただしちゃんとリズム感のある人に見てもらいましょう。
姿勢(動き)を一定にする
これは上のリズムとセットにして考えるとわかりやすいのですが、姿勢(動き)とリズムが一定=軌道が一定、ということになります。そんなのあたりまえといえば、あたりまえなのですが。ここで言いたいのは、リズム同様、姿勢(動き)を一定にするためにいろいろ努力をするようにしましょう、ということです。
私が姿勢で一番気にするのが、ひじの動きです。物を投げるときにいかにひじの動きを一定にするかを考えています。ひじの動きを一定にするには、ただ練習するのも良いのですが、ひじの動きは最小限にとどめるというのも重要だと思います。必要以上に動かさなければ、ずれも小さくなります。とくに利き手と比べて利き手じゃないほうの動きが大きくなりがちなので、利き手の方に合わせるようにします。
同様に、ピルエットや、バッククロスなども、各関節の位置や、動きを意識して、すべてにおいて必要な部分以外はできるかぎり動かさないということを意識して練習するのは重要だと思います。
平面を意識する
基本的には上の二つをしっかり意識すれば、このことは意識する必要はそれほどないと思いますが、姿勢の左右の違いを見つけるのに役立つのが、この平面を意識することです。自分の体に平行な平面内でボールやクラブが動くように意識していれば、左右の動きのずれが少なくなっていきます。ただし、ここで注意してほしいのは、意識した平面が本当に自分の体に平行であるかどうかです。特に投げたものの高さが高いときに顕著に現れますが、自分では平面内にしっかり投げて目的とした場所にしっかり物が飛んでいったのに落ちてくると全然平面内でない(手を引っ込めたり、伸ばししたりしないと取れない)ことがあります。つまり自分の目標の位置が間違っているのです。おそらくこれは左右の体の動きが異なっていて、傾いた平面でジャグリングをし続けていくと現れるものだと思います。なるべく早いうちから自分の体に平行な面を見つけられるようにするといいと思います。
などと書いている私も、この平面はとても傾いています。最近はそれを直すことを重点的に練習しています。
一人で練習する
これは単純に集中力の問題かもしれません。私の場合、サークルなどに行くと周りが気になってあまり集中できず、たいした練習もできずに終わってしまうことがよくあります。友達との交流とかではなく、ジャグリングそのものを目的とした場合には一人で練習するほうがいいようです。私がジャグリングがここまでできるようになったのは友達が少ないせいかもしれません。
上手な人をよく観察する
技を覚えるときには人がやっているのを見て覚えることが多いと思います。とにかく上手な人がやっているのを見るというのは非常によい勉強になります。自分のできない技を平気でやっているような人がいたら、まず観察しましょう。何が違うのか。特にこの場合もリズムが重要です。上手な人のリズムと自分のリズムが一致しているかどうか、その人に合わせて自分の手や体を動かしてみるといいのではないでしょうか。
ノルマを決める
日々の練習で、必ずこれはやるということを決めておくといいでしょう。特に自分がマスターしたい技については、必ず3回連続で成功させるとか、30キャッチするとか決めて練習するといいと思います。そして上達にしたがってそのノルマをあげて行くというのがいいともいます。ただし、あまりたくさんの技についてノルマを決めてしまうと練習が大変になってしまうので、できれば的を絞って今マスターしたい2,3個の技について決めておくのがいいと思います。
一つのことに集中する
たいていの技では、いくつかのことを連続して、または同時に行わなくてはいけません。ここではクラブのフラリッシュを例にとります。この技は、2回転を投げながら手を返してクラブをキャッチ、クラブをフラリッシュ、2回転で落ちてくるクラブをキャッチ、という動作が連続して必要になります。この技を練習するときは当然1本のクラブで十分フラリッシュの練習をしてから、3本のカスケードの中で技を練習するようにすします。初めてカスケードからフラリッシュを挑戦したときに、まず手を返してクラブをキャッチするところまではいくが、フラリッシュができない(きれいに回らない)、さらに、2回転で投げたはずのクラブが2回転で落ちてこないという2つの問題が起こったとします。
ここで「一つのことに集中する」ということが重要になります。今、2つの問題があって、それに同時にとりかかり成功させようとするのは無謀です。フラリッシュそのものは1本で練習してできるようになっているはずなのに、3本になるとできないのはその他のことを成功させようとしてしまっているからです。もしこのようになったら、まずフラリッシュだけに集中します。他のクラブはどうでもよく、落としてしまってよいと考えます。フラリッシュを成功させ、2回転で投げたはずのクラブは、何回転でどこに落ちようが気にしないことです。そしてフラリッシュがスムーズに行くようになったら、今度はその2回転のクラブに意識を持っていきます。ここではもうフラリッシュのことは考えなくてかまいません。フラリッシュができなくてもいいから2回転をきれいに投げます。
最終的には、両方とも意識せずにできるようになります。このようにとにかく一つのことをのみを考えてそれをマスターしていくのが良いと思います。
よく考える
今までの書いたことを総合してよく考えることです。特に技が成功したあとに良く考えましょう。何が良かったのか。リズムがどうっだったか。今のは本当に成功と考えていいのかどうか。もし気に入らない部分があるなら何を直せばいいのか。そしてきれいにできたと思ったときにはもう一度同じことをやることです。それでも上手くいけばそれは正しく成功したのだと考えていいと思います。
成功率5割以上8割未満程度の技を重点的に練習する
これは経験上、このあたりの技の上達が最も早く、そして、他の技に与える影響も大きいと感じるからです。この程度の技であればその日のうちに成功率を上げることができると思います。たとえばバッククロス3キャッチは5割程度成功するが、5キャッチとなるとほとんど失敗してしまうような場合。とにかく3キャッチを練習するようにしましょう。そして成功率が上がってきたらキャッチ数を増やしていくというのがいいと思います。
その日のうちに成功させる
自分にとって非常に難しい技を練習する場合、もっとも良いと思うのは「一つのことに集中する」のところに書いたように、段階的にやったり、少しずつその技に近づけていくことですが、もうちょっとでできそうという技があるときには、とにかくその日のうちに1回は成功させるのがいいと思います。成功しておくのと成功しておかないのでは次のときの練習に大きく影響します。一度成功しておけば、できるということがわかっているのでそれに向かって練習するようになりますが、できたことがないと、なかなかそれに向かって練習はしづらくなります。1回成功させておくとその後一気に上手くなる可能性があるので、なるべくその日のうちに成功させましょう。
「良いこと」と反対のこと
まあタイトルどおりです。ただがむしゃらに練習したり、何の考えもなく練習するのは良くないと思います。
段階を踏まずにいきなり難しい技を練習する
たまにこういう人を見かけます。1upピルエットも少ししかできないのに3upピルエットばかりを練習する。無理に連続で成功させようとする。この辺は好みの問題もあるのかもしれませんが、私は好きではないです。
一般的にいわれている事を無視する
ここに書いたようなことは無視してもらってもかまわないと思うのですが、より一般的に(Jason Garfieldによって?)言われている「フラッシュをよく練習する」とか「足は動かしてはいけない」とかそういったことは、無視してはいけないと思います。
形が崩れるまで続ける
前の章で書いたこととつながるのですが、フラッシュを成功させるとか、足を動かさないとかを無視して、崩れるまで練習して、しかもそれを何度も繰り返している人を見かけるのですが、そういう人たちはあまり上達が早くありません(私の勝手な判断かもしれませんが)。この辺はジャグリングの常識になりつつあるものだと思いますので、しっかりときれいにジャグリングをしてきれいに終わる、それを心がけるのが良いと思います。
多くの技に手を出す
十分な練習時間があれば、いくらたくさんの技を習得しようとしてもいいと思うのですが、限られた時間の中で確実にレベルアップを図るためには、あまりたくさんの技に手は出さないほうがいいと思います。私はとにかく7ボールを投げることを目標になっているので、それ以外のあまり必要とは思わない技はほとんど練習しません。できる技の数は極めて少ないです。時間が十分に取れる人以外は、自分の目標を決めてそのために必要な限られた練習をするのがいいと思います。
高く投げるものに対してねらいを定めない
たとえば、744や94444といった技をやるとき、7や9のボールなどに対して、いい加減な意識で投げることがあります。ただ技を成功させたいだけなら、とりあえずそこそこの場所に投げられれば、あとは下で調整すれば成功はします。ただ、自分のコントロールを高める上では、必ずその高いボールをどこに向かって投げるのか常に意識してそこに一度視線を合わせるようにします。投げるねらいは確実に頭の中に持つように心がけます。こうすることで、だんだんと高い位置へのコントロールがつくようになります。
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中級
- 5ボールカスケード
- チョップ
- クラブチンロール
- クラブヘッドロール
- 3クラブバッククロス
- チンバランスカスケード
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上級
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その他
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外部記事